TTL でCPUを作成、16bitの手作りコンピューター TANACOM-1 誕生

実装

実装方法について

CPU本体は、アルミ板 ( 50cm x 30cm ) にシリコングリスを塗ったTTL-ICをひっくり返して貼り付け、等間隔に張ったスズメッキ線にて+5VとGNDを供給。

CPUボード

ここに、MSI、SSI合わせて127個載っています。

IC配置

IC達の配線には、細い緑色の線を使っているのですが、少し離れてボードを眺めると、IC達の上に緑色の靄が掛かっているように見えます。

配線世界




ICの設置方法

実装の解説

各ICの設置の方法は、この図のおり、ICとICの間に、プラスチックの止め板(約17mm×約5mm)を渡し、アルミボードにボルトナット(M2)で固定します。ICを固定する際、ICの表面にシリコングリスを塗布し、熱伝導性を上げておきます。
1個1個のICでそこまで発熱するものはないのですが、CPU全体となるとアルミボードがホンノり暖まる程度まで行きます。ただ、CPUの動作的には、熱にシビアなようで、CPUボード全体に風を送るファンを止めたら5秒ほどで暴走し、遠い世界に行ってしまいます。



配線は、ワイヤリングペン

IC間の配線には、今でいうUEW (ウレタン) 線を使用した配線ツールが「ワイヤリングペン」という名称で市販されていたものを採用。

ワイヤリングペン



これは、φ0.2程度の銅線にウレタンで被服された線で、ハンダの熱を与えた所だけ被服が解けハンダ付けが出来るというスグレもので、
次の様なメリットがありました。

  • 必要なICの足に3~4回巻き付けハンダ付けするだけでよく、いちいち被服を剥かなくてよい
  • 複数間を一筆書き状に1本線で配線できる
  • 密集しても、かさばりにくい
配線はワイヤリングペン



TANACOM-1が完成出来たのは、このワイヤリングペンを採用したからだと言っても過言ではありません。
ワイヤラッピング等他の配線方式であれば途中で挫折し、完成していなかったかも知れません。

実は、この「アルミ板の上にICをひっくり返し、ワイヤリングペンで配線する」方式は、その後のTANACOM-1のアーキテクチャに大きな影響を与える事になる、手作りコンピュータ EASY-4が大いなるお手本だったのです。


ワイヤリングペンの使い方

使い方をご説明します。
左手にピンセット、右手にワイヤリングペンを持ちます(逆効きの方は逆に)。

ワイヤリングペン実演1

ピンセットとワイヤリングペンをうまく使い、このようにICの足に3~4回巻き付けます。

注.この例で使ったUEW (ウレタン) 線はたまたま、この色だったので、まるで裸線に見えますが、決してそうではありませんので。


ワイヤリングペン実演2

そして普段どおりに半田付けします。
この時、巻き付けた線に半田を供給しながら、コテ先をじっと1~2秒当てていると、線の表皮がブクブクと泡をたてるほど溶け出し、導線が露出し、ICピンとしっかり半田付けされます。


ワイヤリングペン実演3

このように、ゆるゆるに巻くとNGです。
前記のペンの写真に写っている緑色のペンには、線のロック機構が付いていましたので、ロック掛けながらきつく巻く事が出来ました。



配線時の注意点としては、なるべく長い距離を線同士が並行にならないようにすることです。
そして、なるべく一筆書きのように、複数箇所を一度に配線できるよう、ルートを考えながら配線するのがコツです。



powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional