Overview
その名は、TANACOM-1
田中が作るコンピュータの1号機、その名を、「TANACOM-1 」、思いっきり直球です。
CPU は、74シリーズのTTL 146個
CPU本体は、アルミ板 ( 50cm x 30cm ) にシリコングリスを塗ったTTL-ICをひっくり返して貼り付けられています。
そのアルミ板の上に、ALU等 MSI ( 中規模集積回路 )含めて IC 127個が載って、CPUの中核が構成されています。
フロントパネルのLED表示部にはIC 19個を使用。
合わせて 146個で、TANACOM-1のCPUが作られました。
メインのCPUボードの上に搭載されているのは、メイン・メモリユニットとキャラクターディスプレー回路(VRAM)です。
命令数はたった26、パイプライン処理やキャッシュ処理も無しですが、この規模だったから、何とか手作りに成功する事が出来たと思います。
CPUの実行速度
TANACOM-1は、10MHzのクロックを発信し、それを1/3して各フェーズを実行していくステートマシンになっており、1命令の実行速度は、0.9 μS~1.8 μSになります。
今、皆さんが普段使っているパソコンと比べると、1/200~1/300のスピードです。
何故、ミニコン?
写真を見てお判りのとおり、装置名が「MINI COMPUTER」となっております。
この当時、マイクロコンピュータとは、
- マイクロプロセッサーを搭載したコンピューター
- マイクロプログラム方式のコンピューター
と2つの意味がありました。
TANACOM-1は、マイクロプロセッサーは使っていませんし、マイクロプログラム方式ではなく、ランダムロジック方式でしたので、「マイクロ」ではなく、当時コンピューターで一番小さなカテゴリーである「ミニコンピューター」という名称を採用したのでした。
TANACOM-1の CPUアーキテクチャー
- 命令長 16bit固定
- 汎用レジスタ数 2 (R0 , R1)
- 命令数 26
- Data Bus 16bit
- Address Bus 16bit
- ループ専用カウンタ 1 ( CNT )
- 特殊レジスタ 1 ( スイッチレジスタ SWR )
- インターバルタイマ 1 ( 100μS ~ 100S )
- 割込 あり、1レベル
- Clock 水晶10MHz x 1/3
- Main Memory 最大32K word ( 64Kbyte )
- 入出力 Memory Mapped IO
アドレッシング
- ページアドレス方式 ・・・ 1ページ 256 word
- カレントページ内直接
- ゼロページ内直接(分岐命令のみ)
- インデックス
- 間接
- イミデート(即値)
Block Diagram
- 各ブロックの説明
記号 | 名 称 | 主な構成部品 |
SWR | Switch Registar | 3Pトグルスイッチ x 16 |
IR | Instruction Register | SN74198 x 1 |
Control Logic | SN74154 x 2 + その他ロジックIC | |
PC | Program Counter | SN74161 x 4 |
SCR | Scratch Register | SN74198 x 2 |
CNT | Loop Counter | SN74161 x 2 |
Interval Timer | SN7490 x 9 + SN7475 | |
Condition Flag | SN7473 x 2 | |
ALU | Arithmetic Logic Unit | SN74181 x 4 + SN74182 |
SELECTOR | SN74157 x 4 | |
R1 | Index Register | SN74198 x 2 |
R0 | Accumulator | SN74198 x 2 |
各 BUS | SN74125 , SN74365 |